陰陽五行説

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陰陽五行(いんようごぎょう)説

陰陽いんよう五行ごぎょう説は、陰陽思想と五行説から古代中国で生まれた思想です。自然界のすべての現象を説明しようとするこの思想は、中国春秋戦国時代の思想家・鄒衍すうえん氏によって陰陽思想と五行説が結び付けられて漢の時代に誕生し、その後の中国の哲学などに大きな影響を与え、日本の陰陽道の基礎理念にもなりました。

儒教、仏教、道教も陰陽五行の思想を取り入れているおり、日本にそれらが伝来したことで、陰陽五行の思想が日本の風習や行事に影響を及ぼしました。身近なところで、陰陽五行は、漢方や占いなどの考え方として使われています。

陰陽思想

古代中国では、すべての物は「陰」と「陽」という相反する二つの気(エネルギー・性質)に分けられると考えました。その考え方が陰陽思想と呼ばれています。この思想は、五行説よりもはるか昔からあり、古代中国の神話に登場する皇帝が説かれたとも、それ以前からあったとも言われています。

陰陽

この考え方は、どちらの性質が悪いという善悪や優劣はなく、世の中のすべての物は「陰」の性質と「陽」の性質に分けることができ、それら二つの性質が割合の変化をしながらもお互いにバランスを保って成り立っているという考えです。

例えば、陽に分類される光と陰に分類される影は、どちらか一方だけでは成り立ちません。また、光と影は相反する性質を持ちながら、昼は光が増え夜は影が多くなる、というように割合も変化します。

主な陰陽区分
  • 月(陰)⇔ 太陽(陽)
  • 夜(陰)⇔ 昼(陽)
  • 暗さ(陰)⇔ 明るさ(陽)
  • 冬(陰)⇔ 夏(陽)
  • 裏(陰)⇔ 表(陽)
  • 偶数(陰)⇔ 奇数(陽)
  • 水(陰)⇔ 火(陽)
  • 植物(陰)⇔ 動物(陽)
  • 女性(陰)⇔ 男性(陽)
  • 柔らかさ(陰)⇔ 剛さ(陽)

五行説

五行説は、古代中国の夏王朝(紀元前2070年頃~紀元前1600年頃)の始皇帝によって生み出されたと言われています。この説は、「世の中のすべての物は、木・火・土・金・水の五大要素で成り立っている」とする考え方です。

5つの要素の特性と五常

木・火・土・金・水の五大要素には、固有の特性があり、性質を持っています。また、人が本来持っている「仁 (思いやりの心)・礼 (礼を尽くす心)・信 (信じる心)・義 (義理を果たす心)・智 (智を磨く心)」の5つの徳を五行に当てはめた五常という考え方があります。

木の特性

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木の幹や枝は、ぐねぐねと曲がりながらも太陽に向かって真っすぐ伸びていきます。木が成長していく曲直きょくちょくの特性があります。

樹木のような性質:生長・伸長・柔和・円滑・自由

作用:の養分を吸いを抑制します。また、に調整され、を助けます。

五常の仁:華やかで慈愛の心を持ち、仁の心。

火の特性

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炎が燃え上がる炎上えんじょうの特性があります。

炎のような性質:温熱・上昇・明るい

作用:は金属を溶かしを抑制します。また、に調整され、を助けます。

五常の礼:上下関係を大切にし真面目で礼を尽くす、礼の心。

土の特性

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農作物を育てたり、取り入れを助けたりする稼穡かしょくの特性があります。

万物の母である土のような性質:養育・受納・変化・具現化

作用:を抑制します。また、に調整され、を助けます。

五常の信:温厚で情に弱く誠実、人を大切にする、信の心。

金の特性

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たやすく常に変化していく従革じゅうかくの特性があります。

金属のような性質:清涼・清潔・収斂しゅうれん

作用:を抑制します。また、に調整され、を助けます。

五常の義:道理や規則を重んじ、正義や忠義に厚い、義の心。

水の特性

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水ごとく潤し下に向かう潤下じゅんかの特性があります。

生命の源である水のような性質:寒涼・滋潤じじゅん (潤す/湿らす)・下へ流れる

作用:を消しを調整します。また、に栄養を与え、に抑制されます。

五常の智:物事を観察して事前に予感して動く、智の心。

5つの要素の関係

これらの5つの要素には、お互いに協力して助け合う「相生そうじょう」、お互いに傷つけ合う「相剋そうこく」、同じ性質を持ち合わさることで盛んに強くなる「比和ひわ」の関係があります。比和の関係では、同じ性質が合わさる相乗効果がありますが、良い方向へ向かえば更に良くなり、悪い方向へ向かえばさらに悪くなると言われています。

相生(そうじょう)

補い合う隣同士の関係です。隣同士の関係は、相性が良いと言われています。

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  • 木が燃えると、火が生じます。
  • 火が燃えて灰になり、土が生じます。
  • 土を掘ると、金属が得られます。
  • 金属が冷えると、表面に水が生じます。
  • 水が木を育てます。

相剋(そうこく)

反発し合う向かいの関係です。向かい合う関係は、抑制し調整し合うと言われています。

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  • 木は、土の養分を吸収して成長します。
  • 火は、金属を溶かします。
  • 土は、水をせき止めます。
  • 金属は、木を伐ります。
  • 水は、火を消します。

この5つの相克の関係によってお互いが強くなりすぎるのを抑えます。

陰陽五行

陰陽五行は、物事を陰と陽、5つの元素に分類することで、その関係性を考察することができ、暦学や医学などに取り入れられてきました。この陰陽五行は、飛鳥時代(592年~710年)日本へ伝わり、明治時代に廃止された陰陽道の基礎となったと言われています。

主な陰陽五行の区分

五行
陰陽
四神五獣青龍
せいりゅう
朱雀
(すざく)
麒麟(きりん)黄龍
おうりゅう
白虎
びゃっこ
玄武
(げんぶ)
季節土用
気候湿
木星火星土星金星水星
1月、2月、3月4月、5月、6月7月、8月、9月10月、11月、12月
方角中央西
十干甲(きのえ) 
乙(きのと)
丙(ひのえ) 
丁(ひのと)
戊(つちのえ) 
己(つちのと)
庚(かのえ) 
辛(かのと)
壬(みずのえ) 
癸(みずのと)
十二支とら(いん)tiger
(ぼう)rabbit
(し)snake
うま(ご)horse
うし(ちゅう)ox
たつ(しん)dragon
ひつじ(び)sheep
いぬ(じゅつ)dog
さる(しん)monkey
とり(ゆう)rooster
(し)rat
(がい)boar
時刻午後
曜日木曜日火曜日土曜日金曜日水曜日
五臓肝臓心臓脾臓肺臓腎臓
五腑胆のう心包大腸膀胱
五官
五体腱・靭帯血管筋肉皮膚
五味
五華体毛
五志
色彩青(緑)赤(紅)
五常
五穀麦 むぎ黍 きび粟 あわ稲 いね豆 まめ
五果李 すもも杏 あんず棗 なつめ桃 もも栗 くり
五畜
生数

陰陽五行と健康

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東洋医学では、五行の考え方を応用して身体を「肝」「心」「脾」「肺」「腎」の5つの機能に分けて考えます。この「五臓」は、五行の元素と同じくお互いのバランスを保って成り立っています。五行の考え方で五臓をみることで、起こりやすいトラブル、症状が起きやすい部位、体質に合う食べ物などを考察します。

五行と臓器は深く関係しています。例えば、「水」に属する腎臓の機能が悪くなると、冷え性や耳のトラブルなどが起こりやすくなると考えられ、「水」の不調を改善するには、「水」の五味である味噌やイカの塩辛などの鹹味(塩辛い)の食べ物を補うと良いとされています。このように臓器の不調に対して、五行に対応した食べ物を補うことで体調の改善を試みる考え方もあります。

心と身体に優しい薬膳料理には、陰陽思想と五行説の考えが生きています。例えば、暑い時期には陰の食べ物を食べ身体を冷やし、寒い時期には身体を温める陽の食べ物を採るとよいと言われています。春には「木」の酸っぱい食材、夏には体内の熱を冷ましてくれる「火」の苦い食材、というように五行に対応した食材をバランスよく補うことで身体を労わるという考え方もあります。

五行五臓体質症状癒したい五感おすすめ食材
ストレス体質不眠、イライラ、だるい、
神経症、眼精疲労、頭痛、
爪割れなど
嗅覚
ほうれん草、ニラ、しいたけ、
きくらげ、わかめ、小豆、梅、
アンズ、リンゴ、キンカン、
レモンなど
血行不良体質不眠、イライラ、だるい、
憂うつ、のぼせや手足のほてり、
動悸や息切れ、胸の圧迫感など
視覚苦味のある食べ物
シソ、ユリ根、ギンナン、
ニガウリ、ごぼう、セロリ、
パセリ、ウド、ヨモギ、
グレープフルーツなど
冷え体質過敏性腸症候群、肌トラブル、
生理不順、胃痛や食欲不振、
腹部の張り、むくみ、味覚不調
など
味覚甘味のある食べ物
カボチャ、クリ、クルミ、
松の実、大豆、玄米、きび、
粟、クコの実、はちみつ、
山いもなど
便秘体質呼吸が苦しい、風邪をひきやすい、
のどトラブル、せきや痰、花粉症や
鼻炎、肌トラブル、下痢や便秘など
触覚辛味のある食べ物、
大根、シソ、ネギ、ショウガ、
春菊、唐辛子、ニンニク、
カブ、白菜、ミカン、ユズなど
不眠体質不眠、だるい、冷え性、むくみ、
生理不順や生理痛、めまいや耳鳴り
など
聴覚塩辛い味のある食べ物、
のり、昆布、あさり、しじみ、
牡蠣、ひじき、ゴマ、小豆、
黒豆、クルミ、クリなど

陰陽五行と四柱推命

陰陽五行を元にした『四柱推命しちゅうすいめい』という占術が古代中国で誕生しました。生まれた年・月・日・時刻の4つの柱から命式と呼ばれるホロスコープにような表を作成して運命をみていく占いです。

四柱推命で用いられる命式は、生まれた年・月・日・時刻の4つの柱に、生年月日から割り出した「天干」と「地支」を当てはめて作られます。「天干」は十干のこと、「地支」は十二支のことです。

命式の出し方は、下記のサイトが参考になります。

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